フリーランスのグラフィックデザイナーとして働くために必要な基礎知識

フリーランスという働き方の中で、デザイン業は非常に人気が高い職種です。
特にグラフィックデザイナーは、紙媒体から企業ロゴや商品パッケージ、ファッションやインテリアと多岐にわたるデザインに携わることができるため、クリエイティブ業の中ではトップを争う人気を誇ります。
ここでは、グラフィックデザイナーとして働くことに興味がある方向けに知っておきたい基礎知識をお伝えします。

グラフィックデザイナーの仕事の内容と求められるスキル

グラフィックデザイナーの仕事概要

グラフィックデザイナーの仕事では、雑誌、広告、ポスター、チラシ、商品パッケージ、ファッション、インテリア、企業ロゴ、看板と多岐にわたる種類のデザインを行います。
主にパソコン上でIllustratorやPhotoshopといったグラフィックソフトを使ったデジタルな作業となります。
クライアントから渡される「コンセプト」「商品の内容」「ターゲット」といった断片的な情報をデザインに落とし込むのがグラフィックデザイナーの役割です。

グラフィックデザイナーに求められるスキル

グラフィックソフトの知識

グラフィックデザイナーの業務には、IllustratorやPhotoshopといったデザインソフトを使用します。
ソフトの基本的な使い方は習得必須事項です。
また、ソフトへの知識が深ければ深いほど、自分が頭の中に描いたイメージを忠実にデザイン原稿として落とし込むことが可能になりますので、グラフィックデザイナーの方は「普通はあんまり使わないかな」と思うような機能であっても、どんな機能があり、何ができるのかだけでも覚えておくと良いでしょう。

コミュニケーション能力

デザインを作る際には、まず最初にクライアントがデザインを通して「どんな商品、雰囲気を伝えたいのか?」ということを正確に引き出す必要があります。
ただし、クライアント自身が要望を言語化できていない場合も多いので、そういった場合はコミュニケーションを通してクライアントの要望を抽出するということが必要になります。
これは相手に対する親切心だけではなく、「デザインが完成した後にイメージが違うと何度も修正を依頼される」というトラブル防止のためにも必要なことです。
相手の要望をうまく引き出すためには、とにかく相手とコミュニケーションをとることが大切です。
会話の中で相手の思考を整理し、誘導することで相手が望んでいる内容を相手の言葉で言語化させることができるのです。

色彩感覚と配色ルールの知識

デザイン業に共通することですが、魅せるデザインを作るためには配色は重要なポイントの1つです。
伝える内容に見合った印象を生み出す配色を選択できることは、デザイナーとしての強みになります。
グラフィックデザイナーの方は、普段からあらゆるデザインを目にすることによって、色彩感覚を磨くように意識しましょう。

感受性と独創性のあるデザイン力

デザイン業では、常にオリジナリティのあるデザインが求められます。
たとえ、似たような内容の商品を表現する場合でも、同じデザインを使うことはできません。
そのため、グラフィックデザイナーには、クライアントの想いや社風にさえ感受性を働かせることで、独創性がある新しいデザインを次々と生み出すことが必要になります。

基本的なデザイン手法

デザインを職業とする場合、センスだけではなかなか乗り切れません。
特に、グラフィックデザイナーの仕事はあくまでデザインを通して情報を伝えることです。
そのため、美術品にはしばしば見受けられるような、受取手が「このデザインは独創性があるけれど、何を表しているんだろう」と思うようなデザインは求められていないのです。
伝えるために最適なレイアウトや余白の取り方は基本的なデザイン手法を習得することでわかるようになってきます。
書籍やセミナーで基本的な知識を学んでおきましょう。

フリーランスのグラフィックデザイナーとして働くために必要な設備

パソコン

まずは何と言ってもデザインをする環境が必要です。
近年ではデジタルデザインが主流ですので、パソコンが必須となります。
デザイナーとして活動していくのであれば、適当なパソコンを購入するのではなく、画面出力の色調にも気を使ってPCモニターを選択するようにしましょう。
また、グラフィックソフトを支障なく使えるだけのスペックがあるかどうかも確認しておく必要があります。
スペックが足りない場合は、パソコンのパーツショップなどで要望を言えば手持ちのPCのスペック強化をしてもらえることがあります。
よほど古いパソコンの場合は買い換える方がお買い得ですが、新しいパソコンだけどスペックが足りないという場合は、カスタマイズしてもらう方が安価に仕上がります。

グラフィックソフト

IllustratorやPhotoshopの操作はグラフィックデザイナーとして働く上で必ず必要になります。
以前はソフト1つ1つを個別に購入する形式でしたが、現在ではAdobeの年額プランで対象となっている各種ソフトを自由に使うことができるようになりました。
プラン購入の場合、ソフトのアップデート費用も含まれていますので、アップデートを行うことでソフトを常に最新の状態に保つことができます。

ペンタブ

本格的にグラフィックデザイナーとして活動していくには、ペンタブがあると便利です。
近年では既存素材の充実から、著作権フリーの既存素材の組み合わせのみでデザインを作り上げるデザイナーもいますが、直接指名をいただけるレベルで活動していくには自分で素材を作り上げるだけのデザイン力が必要です。
イラストを描く時には、マウスやトラックパッドだけで絵を描くのは困難になるため、ペンタブが手元に1つあると心強いです。

フリーグラフィックデザイナーの平均年収

グラフィックデザイナーの平均年収は300〜400万円程度と言われています。
もともとデザイン系の企業に勤めていた方が独立した場合や、その他人脈を確保している方の中には1000万円の収入を得ている方もいます。
自身のデザインにオリジナルブランドとしての付加価値をつければ、さらに高額な収入を得ることができます。
各デザインにおける相場は以下のとおりです。
これらはあくまで目安であり、デザイナー直接指定の場合はこれらの料金は数倍〜数十倍に跳ね上がります。

  • 雑誌(表紙デザイン):2万円〜
  • 雑誌(ページデザイン):1万円〜
  • 広告バナー:平均5,000円
  • ポスター:5万円〜
  • チラシ:2万円〜
  • 商品パッケージ:5万円〜
  • インテリア:企業と専属契約することが多い。月給17万円〜
  • 企業ロゴ:1万円〜
  • 看板:5万円〜
  • フリーランスでグラフィックデザイナーとして働くメリット

    小規模な制作であれば未経験でも始められる

    グラフィックデザインは幅広い内容がありますが、広告バナーなどの小規模かつ募集が多い案件の中には未経験の方も募集対象内となっているものがあります。
    主に、リスティング広告バナー制作やネット通販で使用する商品バナー制作といったものが多いです。
    単価は安いですが、デザインすることが好きな人にとっては副業として最適です。
    また、今後長い眼でグラフィックデザイナーとして活動したい方も、最初の実績積みのためにバナー制作を数多くこなすことで、次の受注につながるきっかけになります。

    自分の作業スピードに合わせて案件を受注できる

    企業に勤めていると、どうしても一定期間内のノルマが発生します。
    作業スピードが速い人にとってはノルマ以上のデザインができるけれど受け取る給料は変わらないのでモチベーションがあがらず、作業スピードが遅い人にとっては息をつく間もありません。
    フリーランスのグラフィックデザイナーとして働く場合、完全に自分のスピードに合わせて作業を行うことができます。
    作業が速い人はどんどん案件を取ることで自分の作業料に見あった報酬を得ることができます。
    作業が遅い人は、じっくりと考えながら作るだけのペース配分を考えながら、無理なく働くことができます。

    フリーランスでグラフィックデザイナーとして働くデメリット

    初心者が案件を受注することが難しい

    グラフィックデザインの案件募集時、クライアントが応募者の中から選定を行う際に最も見られるのが実績です。
    「実績が多く、デザインテイストがあっているかどうか」をクライアントは慎重に見て判断しますので、フリーランスとして独立したばかりで実績が少ない人は、デザインセンスがあっても仕事の単価を大幅に引き下げないと、実績が豊富なライバルと肩を並べられないという現実があります。
    これは職業全体の受注単価を引き下げる原因になりますので、決して良いことではありませんが、現実問題としてこういった事情があるのだということを知っておきましょう。

    競争が激しいため高額案件を取るのが難しい

    グラフィックデザイナーという職業は、クリエイティブ業の中では非常に人気が高いため、必然的に案件数に対する競争率が高いです。
    そのため、同じようなレベルの応募者が集まった時にはクライアントは一番提案価格が安い人を選択するケースが多いのです。
    そういった背景があるため、高額案件を受注できるようになるためには、デザインに付加価値をつけて、クライアントに「自分はデザインによってこのような成果をあげることができる」ということをアピールすることが重要です。

    高額案件を受注できるグラフィックデザイナーの考え方

    グラフィックデザイナーでは、数多くの単価の安く納期の短い案件を次々とこなすか、数は少ないけれど単価が高く納期が長い案件をじっくりと作り上げるかの2極化が進んでいます。
    あなたは前者と後者、どちらのデザイナーになりたいですか?
    一般に、グラフィックデザイナーを目指す人は、自分のデザインが世の中に発信され、そのデザインが人に影響を与えることにやりがいを感じている方が多い傾向があります。
    単価が安く納期が短い案件では、デザインをしっかりと練り上げる仕事というよりはインスピレーションが赴くままにデザインを作り出していく作業になりますのでやりがいを感じられないといった声が寄せられます。
    では、ゆとりのある高額案件を次々と受注できるグラフィックデザイナーの特徴や考え方は何でしょうか?
    それは「どうしたら自分のデザインに付加価値がつけられるか」に着目しているかどうかです。
    高額案件を受注できる人は、ただ見栄えの良さだけを追求するのではなく、どうしてそのデザインを採用したのか、そのデザインを採用することでどんなメリットが出るのかといった、自分のデザインに根拠があります。
    そして、その根拠に基づいたデザインを行うことによって、一定以上の成果を生み出してきた自負があります。
    ただデザインを学ぶだけではなく、色や形が人に与える影響を心理学から学んだり、デザインをABテストしてみた結果をマーケティング理論から学んだりと、幅広い学問が参考になるため、グラフィックデザイナーはあらゆる学問に対して貪欲でなくてはなりません。
    そして、デザインによって一定以上の成果を約束されているデザイナーはクライアント側からすると、非常に価値のある人材とみなされます。
    企業はより高い確実性を求めていますから、同じデザインをするのであれば、安い金額でどんな成果が出るかは蓋を開けてみないとわからないデザイナーよりも、高額でも一定以上の成果を見込むことができるデザイナーの方が魅力的に映るのです。

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